はじめに

2017年は森友学園問題や加計学園問題などが、口利きや忖度といったキーワードで取り沙汰される1年となりました。中でも森友学園の一件は補助金の不正受給問題も焦点のひとつとなりました。

(いち民間人にとっては)あれほど莫大な金額の不正が行われ、しかもそれが氷山の一角であろうことを思うと失望の念を禁じ得ません。しかし本件を反面教師として、補助金の受給のあり方については考えておくべきと思います。

ここでは、補助金の申請をする際の、弊社の基準(どこまでが白で、どこから黒とするか)を示しておきたいと思います。

事実の改竄はアウト

これは言わずもがなですが、森友の一件はこれに該当する点が多かったので、念のために記しておきます。

  • 数字の改ざん
  • 過去の売上高の水増しなど。定量的なものは虚偽の記載をしたところで、すぐ(もしくはいずれ)バレるのでやめましょう。

  • 明らかな嘘
  • 実際には雇用していない人物を従業員として届け出るなど。

やらない方が無難

自己責任でやる分には構わないが、やったところで特にメリットにならないもの。いわゆる「誤魔化し」の部類。審査側がしっかり見ているかは不明ですが、少なくとも審査の数はこなしているはずなので、このようなことは違和感として見逃さないと考えた方がいいでしょう。

  • 要件に合わない申請
  • 海外展開を要件とした案件に対して国内販路開拓の話を進める。
    小売業者を対象とした案件に卸売業者が申請する、など。

    補助金ありきで何か応募できるものはないか、という感覚で無理やり申請しようとするとこうなることがありますが、これで採択されることはあまりないと思われます。

  • 過度な将来予測
  • 補助金を申請する際には、それを活用することによって自社はこれだけ業績が良くなるという、何らかの数字を示す場合がほとんどですが、これを大げさに書くのも考えものです。

    もちろん未来のことは分からないので、現実的に考えうる範囲で最大の数字を書くのはいいのですが、例えばほとんどの人が携帯・スマホを所有している現在において、スマホ売上台数を右肩上がりに予測するのは(何らかのブレイクスルーがない限り)現実的とはいえません。

やっても(やった方が)いい

  • 事実の誇張
  • 誇張というと躊躇う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは例えば、普段ボサボサの髪の男がお見合いのために美容室で身だしなみを整えるようなものでしょう。
    毎日のタバコ休憩→日々の綿密なディスカッションと、格好良く言ってしまっていいと思っています。
    (蛇足ですが、個人的には下手な会議よりもタバコ休憩の方が従業員の本音が出て、それを現場改善につなげられるケースは多々あるように思います)

  • 強みの分析
  • 基本的に、申請書には自社の強みを書いていく必要がありますが、自社にとって当たり前の組織文化や人間関係が、実は外部から見ると強みになっていることがあります。これは経営戦略論では「因果関係不明性」という言葉で表されたりします。

    自社の強みを分析するにあたり、自社に対する他社・取引先の意見や印象を聞いてみると、主観的には認識できていなかった強みが発見できるかもしれません。そしてそのような客観的な意見は、審査側から見ても説得力があります。

まとめ

以上の話をとても大雑把にまとめると、以下のようになります。

  • 誇張→〇(アピールは必要)
  • 誤魔化し→△(メリットなし)
  • 改ざん→×(法的なリスク)

基本的には、事実をベースにした申請がベストです(当たり前の話ですが…)。

最後に~実際の経験より~

先の、「小売業者を対象とした案件に卸売業者が申請する」という部分ですが、これは実際にそうしたことがありました。まだ私が独立する前の話です。

商品の海外販売を支援する補助金であり、「該当商品の直接販売を行う事業者」が支援対象だったのですが、当時私が勤務していた卸売業者では自社で申請したがっていました。当然、要件からは外れており、自社で申請するには少なくとも小売業者と共同で申請する必要があったのですが、「そこを何とかするのがコンサルでしょう?」と聞く耳を持ちません。

残念ながら、そこを何とかするのはコンサルではなく、詐欺師だと思います。コンサルとしては、ルールは最低限、守っていかなければなりません。

弊社はあくまで、ルールに則った形で助言・支援等を実施していくことを、この場で明言しておきたいと思います。